The War Lord The Shadows

これまた、お宝映像である。

前回に引き続くTV番組から1965年11月に発売されたシングル「The War Lord」の生演奏だ。日本ではアルバム「栄光のシャドウズ」に挿入されていた。

私が初めて聞いたのは中学生だった。今までのエレキ音楽とまったく違うソリッドで重厚な演奏に大感激したのを想い出す。

この作品はChaleton Heston主演の同名アメリカ映画主題曲で、シャドウズ盤も封切りと同時に発売された。

映画のサウンドトラックはJerome Morossが担当している。彼は後年(1969)発売されるHankのソロ・アルバムの「Big Country」や日本のテレビでもお馴染みだった「ガン・スモーク」の主題曲作者でもある。

映画版はオーケストラによる典型的なスクリーン・ミュージックだが、The Shadowsの演奏は試写会を観たHankのアイディアで、非常にメタリックなバンド・サウンドになっている。

スタジオ録音版はMaestroのファズFZ-1が使われているらしい。歪み方を自然な音色にするHankの特徴が、この頃から出発しているのが聞き所であろう。

しかし、クリップを見てお判りのように、このステージではファズは使用されていない。

この理由は、おそらく当時のファズがスイッチを踏んだ時と、踏んでいない時の音量のバランスが取り難い事。

スイッチを踏んだときに、大きなノイズが出る事。

そして、これは私も70年代に入ってElectro-Harmonix社のBigmuffという製品で経験したのだが、スイッチを切っても僅かにファズ音の成分が残っていて、完全にクリーンなサウンドに戻らない事等が考えられる。(私の場合、買った翌日、すぐに返品してしまったが・・・)

レコードは当時の英国のシングル盤の風習通りMONOで録音された。皆さんも当時はMONOのレコード針とSTEREOの針があって、MONOの電蓄ではSTEREO盤が聞けなかった事を憶えておられるだろう。

まずファズを通したメロ部分が2回録音され、その後、BurnsのMiddle Pick Upを使ったサビ、ブライアンの効果的なパーカッションも2種類がダビングされている。

最高位はNo.18だったものの、1965~1966年のクリスマス・シーズンをはさんで9週間もチャート・インしていたシャドウズ普及の名演と言えよう。

(映画版。7分以降に画面に流れます。)

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